この住宅は、大きく二つの空間に分けられる。
ひとつは、LDK空間である家族が集う天井の高いワンルーム空間であり、もうひとつは、個室群が重なり合う空間である。
その二つの空間は同じボリュームで対面している。
柱・梁のフレームで区切られた、個室群のボリュームには、階数に含まれない天高1.4m以下の空間がリズミカルに挿入され、各個室がパッチワークのように配置される。
LDK空間からは、すべての各個室空間を捉えることができ、それぞれの個室空間での活動や気配を認識できる。
また逆に、個室空間からLDK空間も同様で、たとえLDK空間に居なくても同じひとつの空間に居ることを認識できる。
また個室群空間の各個室は完全に独立した空間ではなく、隣り合う個室とゆるやかにつながる。
単純な空間形式を目指しながら、その重ね方、向き合い方、つながり方を操作することによって、機能としても視覚的にも多様性を生み出すことができた。
この住宅は、一方からすべての部屋を見ることができるドールハウスのようで、家族が生活している様子がいきいきと伝わってくる 。
ドールハウスにある、わくわくする感覚が暮らしのなかにもあふれるような住宅になることを期待している。
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